人気作家・浅沼徹也が選考委員を務める新人文学賞の応募作『壁の目』と題する一編は、覗きマニアの老女が、アパートの壁穴から目撃した隣室の殺人を微細に描写していた。彼は作品を読んだ瞬間、驚愕のあまり原稿を落としかけた。七年前、大学生だった彼は行きずりの情事の果て、女を殺した。事件は迷宮入りし、浅沼は今日の地位を築いたのだ。殺人現場を見られていたのか?この作品は、いったい虚構か実録か。浅沼の恐怖が始まった。そして美貌の女の絞殺体が発見された。彼女こそ、七年前事件当時、実際に被害者の隣室に住んでいた女であった…。本格推理の名手が、自らの作家の「業」を描破した問題作。
定価:860円(税込) ISBN 978-4-86296-089-4